第99回「こすぎの大学~武蔵小杉でこすぎの大学 1→100~」(2021年3月12日)

佐藤敏明さん
佐藤敏明さん

第99回「こすぎの大学」は「武蔵小杉でこすぎの大学 1→100」と題し、先生役として第1回こすぎの大学の先生役であるデザイン素浪人 佐藤敏明さんをお招きしました。

2013年9月に小杉二丁目会館でスタートした「こすぎの大学」。デザイナーの視点から地域デザインの可能性を示唆してくださった佐藤敏明さん。そして、参加者のみなさんと一緒に考えた「武蔵小杉を表現する漢字(一文字)」。その一つが「交+心」。心が交わると書いて「ネットワーク」と読む新語。人が行き交うだけでなく、心が交わる、心温まる街。

第1回目から7年半が経過して、まさに心が交わる、心が温まる街だなぁと実感しています。記念すべき100回目を目前に、これまでの7年半を振り返る時間を一緒に過ごしました。

 

【日時 】2021年 3月12日(金)19:28-21:15

【先生役】第1回先生役/デザイン素浪人 佐藤敏明さん

【場所 】オンライン(zoom)授業

【参加者】

 

<デザイン素浪人 佐藤敏明さんのプロフィール>

 

会社でのタイトルは、東芝時代の担当から主事という二文字の短い肩書から始まり、ソニーではクリエイティブプロデユーサー、NECではチーフクリエイティブ・ディレクター、イノベーションプロデューサーと長いカタカナ時代を過ごしましたが、現在のグリコでは、部長の二文字に戻っています。

東芝時代は自分よりも年上と、ソニーでは自分と同年代と、NECでは自分より5歳から10歳くらい下の1965~69年頃生まれの「バブル世代」、1971~74年頃生まれの「団塊ジュニア」と一緒に仕事をしてきました。

現在のグリコでは1981〜1995年生まれのY世代と呼ばれる「ミレニアル世代」が中心で新人が1996〜2010年生まれのZ世代が1名いるデザインチームのため、また違う環境です。
NEC時代は岡本さんとは10歳以内の年齢差でしたが、今の職場では25歳以上離れていることもあり、世代間の意識差も感じます。


東京で59年暮らした私が、全く縁のない大阪で、しかも、経験してきた耐久消費財のプロダクトデザインではなく、食品やパッケージデザインの分野に挑んだのは、ゼロリセットでもありました。

新型コロナで世界が一変する先行き不透明な「VUCAな時代」の今、2021年のダボス会議のテーマは「グレートリセット」が掲げられ、今までの常識や慣習を超えた新常識や新慣習に変えるニューノーマルが期待されています。

思い込みで認知が偏ったり、バイアスがかかってしまいがちですが、「De+Sign」な発想転換法から見立てる(アウト・オブ・ザ・ボックス)で仕事も自分も人生は必ず変わるのだと、改めて気づいたのが大阪に移っての気付きの数々でした。

幕末の長州藩尊皇攘夷の志士として活躍した高杉晋作が明治維新直前に病床で残した辞世の句に『面白き事もなき世を面白く すみなすものは心なりけり』がありますが、まさにその通りだと思います。私が新天地で意味を見いだせたのも自身の心の持ちようでした。

気が付けば、住まいも暮らしも仕事先から求められるがままに流されて生き、40年仕事をしてきました。
その時々に請け負われて、さすらう仕事人とみれば、肩書は「デザイン素浪人」が適切かと思います。

【素浪人:語源由来】

浪人とは、古く他国を流れ歩く者のことで、浮浪とも呼ぶ。「素」の字には「なにも加わっていない・程度が普通をはるかに超えた状態」の意味があります。流れるようにいくつもの土地を転々として、定職を持たない状態にいる者を蔑んで用いられたようです。また、ドラマでよく登場しますが、落ちぶれた武士だけを指すのではなく、すべての民衆にも用いられたようです。

 

佐藤敏明(Toshiaki Sato)

江崎グリコ株式会社

デザイン部 部門長


授業風景


先生役のお話し

記念すべき100回目を目前にこれまでの7年半を振り返ると共に、今後、地域デザインに求められるチカラ「受動性」「De+Sign」「妄想・空想→想像→創造」などを学びました。


こすぎの大学の7年半の振り返り

2013年 武蔵小杉との接点が誕生

2014年 武蔵小杉から川崎に拡大

2015年 学びを実践に

2016年 武蔵小杉以外での出張授業

2017年 部活動がスタート

2018年 他地域や企業との関係人口の構築

2019年 変化に向き合う

2020年 オンラインの可能性とコミュニティ維持の難しさ

 

3/21開催、CRファクトリーさん主催コミュニティフォーラムのテーマは「ここちよい“つながり”としっくりくる“生き方”」。こすぎの大学の7年半を通じて至った現段階での考えを紹介予定です。

 

ここちよい「つながり」:主体性と偶発性による利他思考

しっくりくる「生き方」:十人十色な思い出づくり

 

昨年、COVID-19と向き合いながらオンラインによる可能性を実感する一方、それ以上に感じたのがコミュニティ維持の難しさでした。

最後、限られた僅かな時間でしたが、参加者というか仲間と一緒に「ここちよい“つながり”としっくりくる“生き方”」について語り合って共有できたことに感謝します。ありがとうございました。


当日のプログラム


(参考)

第1回「こすぎの大学〜NECと地域デザイン〜」(2013年9月6日)

記念すべき第1回は、NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社(当時)でデザイン統括をされている佐藤敏明さんを先生役としてお招きし、「NECと地域デザイン」というテーマでプレゼンテーションしていただきました。デザイナーの視点で、武蔵小杉をデザインするアドバイスを頂戴し、そのアドバイスにもとづき、「武蔵小杉を表現する“漢字”(一文字)」を参加メンバーで探求しました。